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中華食材指南Foods Guide

【鶏粉】チキンパウダー

中国で最もスタンダードなスープベース

チキンパウダーとは、中国語で「鶏粉」(ジーフェン)などと呼ばれる粉末チキンだしのこと。香港はもちろん、中国各地でも非常にポピュラーな調味料で、日本でいえばかつおのだしの素のような存在です。お湯に溶かして調理用スープにしたり、粉末のままだしの素やうま味調味料として使ったり、食材・調理法を問わず、様々な料理に使われています。

手間をかけずにおいしさアップ!

調理用スープは炒めものによく使われますが、野菜や海鮮をボイルする時にも便利です。たとえば香港では、「油菜」(ヤウチョイ:青菜のボイル)や「白灼蝦」(バッチョッハー:ゆでえび)などを作る時、素材のうま味をさらにアップさせるために、店によってはお湯でなくスープでボイルしたりします。沸騰したお湯にチキンパウダーを入れて素材をゆでるだけなので、面倒な手間もいりません。

塩やこしょうのように、そのまま使える!

お湯に溶かさず、塩やこしょうのようにそのまま使えるのも、チキンパウダーの魅力です。日本で“中華スープの素”といえば、半練りタイプや顆粒タイプが一般的ですが、粉末状のチキンパウダーなら、餃子のあんや肉の下味付けでもうま味がしっかり浸透し、風味を外へ逃がしません。もちろん、炒飯など余計な水分を与えたくない料理にもおすすめです。ちなみに、香港で定番の蒸し鶏「白切鶏」(バッチッガイ)にかかっているしょうがとねぎのたれ「薑葱油」(ギンチョンヤウ)は、チキンパウダーを入れるのがコツ。このひとさじで、ぐっと香港らしい味になります。

チキンパウダーの商品カタログ

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【蠔油】オイスターソース

広東の代表的な基礎調味料

オイスターソースは広東の代表的な調味料です。カキの煮汁を濃縮・調味したもので、コクのある甘辛い味と濃厚なうま味が特徴です。醤油に比べれば約120年という短い歴史ですが、広東料理の本場香港では、醤油と並んで一家に一本が常識というほど、常備調味料として欠かせない存在になっています。

本場の手軽な定番料理

オイスターソースを使った料理といえば、広東名菜「蠔油牛肉」(牛肉のオイスターソース炒め)が有名ですが、香港ではもっと簡単に作れる定番料理もあります。たとえば、粥麺店の定番メニュー「蠔油撈麺」(ホウヤウロウミン)は、ゆでたかん水麺にオイスターソースと熱した油をかけた、香港ならではの和えそば。野菜の定番サイドメニュー「油菜」(ヤウチョイ)は、ゆでた青菜にオイスターソースや熱した油をかけたもので、屋台でも高級レストランでも食べられるおなじみのメニュー。どちらもオイスターソースと熱した油をかけただけの簡単な料理ですが、オイスターソースの魅力が最大限に発揮され、濃厚なコクとうま味が楽しめます。

多種多様な料理に大活躍

オイスターソースの最大のメリットは、なんといっても料理にコクとうま味を与えられること。カキが持つ自然のうま味成分のおかげで、料理のメインの味付けだけでなく、下味・コク出し・隠し味など、料理に深みを与える調味料としてもよく使われています。たとえば香港では、「叉焼包」(チャーシューパオ)のあんや、「荷葉飯」(蓮の葉包み蒸しご飯)のご飯の味付けにもオイスターソースが大活躍。単なる炒めもの以外にも、いろいろな料理に使われているのです。

オイスターソース万能活用法
  • 唐揚げ

    オイスターソース・醤油・酒で下味を付けた鶏の唐揚げ。オイスターソースでほんのり甘く、コクのある味に。

  • 点心

    餃子・焼売・春巻・包子など、点心のあんの下味にも大活躍。オイスターソースだけで、味がぐんと変わります。

  • 焼きそば・炒飯

    焼きそばや炒飯のメインの味付けとしてもオイスターソースはおすすめ。濃厚でしっかりした味が作り出せます。

  • スープ

    オイスターソースをたっぷり使えば中華風の味に、少量なら和風や洋風のスープにも。うま味が格段に倍増します。

  • かけだれ

    オイスターソースはかけだれにもよく使われます。熱した油とともにゆでた野菜にかければ香港風温野菜サラダに。

  • 炊き込みご飯

    炊き込みご飯の味付けにオイスターソース・醤油・酒を使うと、うま味・甘味・塩気のバランスが絶妙になります。

  • 手羽のオイスター煮

    手羽中に焼き目をつけ、オイスターソース・醤油・水で煮詰めた一品。甘辛い味はビールにもご飯にもぴったり。

  • カレー

    カレーの隠し味にオイスターソースを使うと、まろやかでコクのある味わいに。ハヤシライスなどにもおすすめです。

李錦記オイスターソース

中華街のオイスターソース

チャーシューパオ

飲茶文化から生まれた広東式の中華まん

中華まん

昔から飲茶文化が定着している香港では、包子(パオズ=中華まん)といえば飲茶でいただく点心のひとつ。屋台で肉まんを売っていたりする中国本土と違い、香港の場合は飲茶のできる飲食店で、お茶を飲みながらいただくのが一般的です。そんな飲茶文化から生まれた広東式の包子には、広東名物の叉焼を甘めの生地で包んだ「叉焼包」(チャーシューパオ)や、具だくさんの巨大肉まん「鶏球大包」(ガイカウダイパオ)などがありますが、昔から変わらず人気が高いのは叉焼包。香港では、子供にも大人にも愛されている最もポピュラーな包子です。

おいしい理由は、オイスターソースのたれにあり

オイスターソースのたれ

叉焼包の一番の特徴は、なんといっても甘辛いたれ。日本でよく見る普通の肉まんよりもあんの水分がずっと多いため、とろりとしたたれが叉焼と絶妙にからみあい、ぐんとおいしさを引き立てています。そんなたれを作るのに欠かせないのがオイスターソースです。濃厚なうま味と甘辛い味わいを持つオイスターソースに、老抽(広東特産の色付け醤油)や生抽(広東の濃口醤油)などをブレンドし、香り付けにエシャロットを使用。店によっては、柱侯醤や豆豉を加える場合もあります。ちなみに、オイスターソースの味わいは叉焼包の特徴でもあるだけに、店のメニューには「蠔油叉焼包」(オイスターソース風味のチャーシューまん)と書かれていることも少なくありません。

花が咲いたように割れた、ふわふわの皮

叉焼包のもうひとつの特徴は、独特の皮にあります。普通の肉まんと違って、叉焼包の皮は蒸し上がると、花が咲いたように上部が大きく割れ、弾力があるというよりも、ふわっとやわらかいのが特徴。この割れ目とふわふわの食感を上手に作るのが「臭粉」(炭酸水素アンモニウム=重炭安)という膨張剤です。生地に臭粉を加えることで通常よりも発泡倍率が上がり、ふわふわにふくらんで上部がしっかり割れるようになります。

中華まんブーム
中華まん

2008年の香港は、パン屋感覚で気軽に買える中華まん専門店が続々オープンし、ちょっとした中華まんブームになりました。「バターを使うパンよりもヘルシー!」「わざわざ飲茶をしに行かなくても食べられる」と、中華まん人気が急上昇。店内には、昔ながらの菜肉包(いわゆる普通の肉まん)から新感覚のオリジナル包子まで、様々な中華まんが並び、学生やOLたちで賑わっています。

オイスターソース

特級老抽

叉焼醤

ヤクチョイ

なくてはならない名脇役

香港では麺やお粥を食べる時、よくいっしょにオーダーされる定番のサイドメニューがあります。それは、ゆでた青菜にオイスターソースなどのたれをかけていただく「油菜」(ヤウチョイ)というもの。あっという間に作れる超簡単レシピですが、実はこれが意外なほどに美味なのです。しかも、麺やお粥を食べる時だけでなく、いろんなシーンで見かけます。たとえば、ランチのセットメニューに「メインのおかず+油菜+日替わりスープ+ご飯」などと組み込まれていることもしばしば。さらに、飲茶の時に点心といっしょに食べたり、レストランでのディナーで野菜料理のひとつとして注文したり、もちろん家庭の食卓にもよくお目見えします。

おいしさの秘密

油菜のおいしさの秘密は、中国料理ならではの油の使い方にあります。というのも、ゆでた青菜にオイスターソースをかける時、熱した油をジューッと回しかけるのですが、オイスターソースに油が合わさることでぐんとまろやかになり、うま味感がアップするのです。また、鮮やかな緑色に仕上げるために、青菜をゆでる時もお湯に少量の油を入れます(香港の麺専門店では、麺をゆでたお湯で青菜をゆでたりしますが、これも麺に含まれるかん水によって青菜が色鮮やかになるからなのです)。さらにおいしくするには、青菜をゆでる時にチキンパウダーを入れるのがコツ。つまり、お湯ではなくチキンスープでゆでるのですが、香港ではこうやってスープでボイルする店も少なくありません。

バリエーションもいろいろ

油菜とひとくちにいっても、使用する野菜やたれによってバリエーションがあります。最も代表的なのは、オイスターソースでいただく菜心(チョイサム)や芥蘭(ガイラン)。どちらも香港では非常にポピュラーな野菜で、葉よりも茎をメインにいただきます。次いで、レタスや空心菜もよく使われる食材です。店によっては、花にら・油麦菜(ヤウマッチョイ)・クレソンなども油菜に使ったりします。たれはオイスターソースが基本ですが、醤油だれを出す店もあり、また、空心菜に限っては腐乳だれが使われます。

中華まん

←左は菜心(チョイサム)、右は芥蘭(ガイラン)。ページ上部の写真の油菜はこの芥蘭を使用。※写真はどちらも国産品。香港で出回っている菜心は茎がもっと太めです。

菜心チョイサム 広東一帯でとてもポピュラーなアブラナ科の野菜。菜の花のようにとう立ちした茎・若葉・黄色いつぼみを食用にしますが、苦味やクセはありません。
芥蘭ガイラン 見た目は菜心に似ていますが、菜心より茎が太く歯応えがあり、ほのかに苦味も。茎の食感や味が似ていることから、チャイニーズブロッコリーとも呼ばれています。
油麦菜ヤウマッチョイ ロメインレタスに似た縦長のレタス。シャキシャキした歯応えが特徴。台湾ではA菜(エーツァイ)と呼ばれて人気があります。

レタスの油菜の作り方はこちら

オイスターソース

チキンパウダー